ヘスペリジンとかぜ薬
■ ヘスペリジンとは
ヘスペリジンとは、かつてビタミンPと呼ばれたビタミン様物質で、
レモンやオレンジなどかんきつ類の果皮(白皮や薄皮)に多く含まれる成分です。
1936年、ハンガリーのセント・ジエルジー(ビタミンCを世界で初めて結晶化した人)が、
レモン汁の中のビタミンCと共存する因子として報告しました。
なぜビタミン様(よう)物質と呼ばれているのかというと、
最初は、人間が生きて行く上で必須の成分(ビタミン)と考えられていましたが、その後ビタミンではないことがわかり、
現在は、フラボノイドのひとつに分類されているからです。
植物に含まれているフラボノイドのヘスペリジン、ルチン、ケルセチンなどをまとめて「ビタミンP」ということがあります。
■ ヘスペリジンの作用とは
ヘスペリジンの作用は、専門的な表現ですが「毛細血管の抵抗力低下や、透過性増加を防ぐ」というものです。
わかりやすくご説明します。
例えば、風邪を引いているとき、鼻の粘膜がぶよっと腫れたり、鼻水が出たりしませんか?
この水分は、もともと血液から来たものです。
つまり、本来血管の中に留まっている水分や成分が、血管壁からじわじわと滲み出てくるから、鼻水やら、むくみやらにつながるのです。
血液中の成分が、血管の外に漏れでてしまう事を「透過性の増加」と言うのです。
ヘスペリジンには、それを防ぐ効果が多少なりともあるということです。
「鼻水って血液からできてるの?でも鼻水って、赤くないじゃん」と、思った方へ。
血液が赤いのは、赤血球中の色素ヘモグロビンの色です。液体部分は無色に近いのです。
実際、ヘスペリジンには、鼻水を止めたり、鼻詰まりを取ったりする直接の作用はありません。
ですから、カゼグスリや鼻炎用薬に配合されている場合は、ビタミン類などと同様の、オマケ成分というか、補助成分と考えましょう。
■ ヘスペリジンの別名、ビタミンPのPってなあに? ■
permeability (透過性) から、Pの字をとったそうです。
近年、ヘスペリジンを配合したサプリメントが目に付くようになってきました。
私個人としては、「レモン丸かじり」で良いと思っています。レモン皮の残留農薬が気になるという方は
(ヘスペリジンは白皮に良く入っているそうですから)、黄色いところだけでも、剥いてしまえば良いでしょう。
また、みかんの薄皮を、噛んでから「ぺっ!」と出す人がいますが、皮ごと食べるのが健康的ですね。
■ メチルヘスペリジンとは?
メチルヘスペリジンというのは、このビタミンP、レモン汁から発見された毛細血管壁を強めるフラボノイド
の主成分である「ヘスペリジン」から合成したもので、ヘスペリジンと同様の効き目があります。
このヘスペリジンを、ジメチル硫酸でメチル化して、水に可溶化したものが、メチルヘスペリジンです。
食品添加物しては、昭和32年に指定され、強化剤の用途で使われています。
● <参考リンク>食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長 食安発 第1016001号 平成15年10月16日)
(2006年10月更新1回目)
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