睡眠改善薬とは
現代人は、日々ストレスにさらされています。
睡眠改善薬は、寝つきが悪い時だけでなく、大事なプレゼンの前にキンチョーする、俳優さんが舞台に上がる前に震えてしまう、そういう時にも効果的。
枕が変わると眠れな〜い!というアナタのために、今回のお題は【気持ち良く眠るためのお薬】です。(車の運転前に飲んだらイヤン)
■ 睡眠改善薬とは
病院でお医者さんに「眠れないんです〜」と相談したことはありますか?
病院で、最初に処方される薬は、デパスやハルシオン、レンドルミン等(ベンゾジアゼピン系)の催眠鎮静薬です。これらは、病院でもらう薬の中では、比較的弱い「睡眠導入薬」と呼ばれるものです。病院の薬には、他にもっと強い「睡眠薬」があります。
しかし、薬局で売っている「眠るためのクスリ(睡眠改善薬)」は、病院でもらう薬とは全く別モノ。
例えば今、売れに売れているドリエル(エスエス)は、抗ヒスタミン薬です。他は生薬製剤で、気分を落ち着かせる、寝つきを良くすると言った【入眠改善効果】のものばかりです。
だから市販の薬は、「睡眠薬」ではなく「睡眠改善薬」なのです。
一般の方は間違いやすいのですが、いわゆる強い「睡眠薬」は、病院でしか貰えないものなんですよー!これ重要!
(時々、調剤薬局から睡眠薬が大量に盗まれたーという話を聞きます。怖いです。何に使うんでしょう)
■ ドリエル(エスエス) 2003年4月発売
希望小売価格:6錠・1,000円/12錠・1,900円
エスエス製薬から国内初の市販の睡眠改善薬「ドリエル」が発売され、
爆発的ヒット!
【国内初!】
【爆発的ヒット!】
おそらく、一般の方には「今までにない新しいクスリ」が登場した!」と思われた方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
ドリエルの主成分は、塩酸ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬)です。
抗ヒスタミン薬・ジフェンヒドラミンと言えば、「痒み止め成分」で有名な、クスリの世界のベテラン選手です。
↓ジフェンヒドラミンの配合された薬を見てみましょう。
・ムヒシリーズ(池田模範堂)・・・虫さされ
・フェミニーナ(小林製薬) ・・・デリケートゾーンのかゆみに
・トラベルミン(エーザイ) ・・・乗り物酔い止め
ジフェンヒドラミンは、かぜ薬、鼻炎薬にも配合されたことがあります
が、眠気の副作用が強いため、その分野からは姿を消しつつあります。
つまり、【昔からのお馴染み】の、ありふれたクスリの副作用にスポットライトを当てて、新発売したのです。ビジネスでは、このような発想の転換は、非常に重要ですね。
薬剤師なら「なんだぁ、ジフェンヒドラミンかぁ」って感じですが・・・
「発売前に年間売上目標額を6億円と見込んだのですが、発売1カ月で達成。それで、今度は15億円に年間目標額を修正しましたが、半年でそれに近い額まで達しました」(「エスエス製薬」広報担当者)
売れてるよ〜!!売れまくり!
抗ヒスタミン薬ですから、精神神経用薬にみられる常習性もありません。
以下、飲み方の注意点です。
臨床試験では、ドリエルの血中濃度がピークになるのは飲んで約4時間後。
ですから、4〜5時間以下しか眠らないときは、薬が残っていて寝起きが悪いことがあります。6〜7時間以上眠れるときに使うのをオススメします。
■ レスティ(大正製薬) 2003年4月発売
希望小売価格:72錠・1,200円/150錠・2,400円
英語のrest(レスト:休息、睡眠)からきた名前です。
レスティは、抑肝散(よくかんさん;漢方)に芍薬(しゃくやく)と黄蓮(おうれん)を加えた生薬製剤です。
「抑肝散(よくかんさん)」は、古来より、不眠症や神経症に繁用されているという漢方です。9種類の生薬が、穏やかな眠りへ誘います。
漢方なので、穏やかな眠り、寝覚めです。
昼間に飲んでもダイジョウブ。緊張が緩和されます。
眠くなるのは、主に釣藤鈎(チョウトウコウ)の働きによります。
希望小売価格/72錠・1,800円
これも、生薬の働きで、つらい不眠をじっくり治していく漢方薬。
名前は、Night(ナイト:夜)・眠(ミン)ですね。
漢方「ナイトミン」は、漢方処方「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」に含まれる5つの生薬の働きで、心と体のバランスを整えて不眠をじっくりと治していく漢方薬で、ストレスなどで心身が疲れ、体が弱りがちな方に特に適した処方です。
眠くなるのは、主に酸棗仁(さんそうにん)の働きによります。
■ 快眠精(かいみんせい:エスエス)
希望小売価格:63錠・1,700円/108錠・2,800円
心身疲労による不眠に(漢方・酸棗仁湯:さんそうにんとうエキス錠)
これも眠くなるサンソウニン入り。漢方ですので、穏やかな睡眠が得られます。
●生薬系の睡眠改善薬は、朝、眠気が残りにくい、自然な入眠が得られるようになるといった利点があります。
漢方で不眠やイライラに用いられることが多いのは他に、
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
眠くなるのは、主に厚朴(こうぼく)の働き
更年期のイライラに、
・加味逍遥散(かみしょうようさん)
などがあります。更年期の女性にオススメ。
■ 注意事項(詳細は、各製品の添付文書を参照ください)
・ドリエルを飲んだら、車の運転はしないこと
・ドリエルを飲んだら、授乳しないこと
・睡眠改善薬を飲みつづけても不眠が改善されない場合や、長期連用する場合は、医師または薬剤師に相談すること
(うつ病など、他の病気が隠れている場合があります)
・お酒がさめないうちは、どんな医薬品もやめましょう。
睡眠改善薬はもちろん、かぜ薬、解熱鎮痛剤、鼻炎薬などは絶対ダメです。漢方は幼少時から慣れ親しんでいるため、好んで飲みます。
私は寝つきが悪いので、漢方系の睡眠改善薬を常備しています。
(2004年12月)
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