腸で活性化するおだやかな便秘薬とは
今回のお題は【ピコスルファートナトリウム(成分名)】です。
刺激性下剤成分・ビサコジルの弟分のような存在です。
(ビサコジル配合のコーラック、ビューラック、スルーラック、カイベールCについては、便秘薬 (1)をご参照ください。)
■ ピコスルファートナトリウム
ピコスルファートナトリウム・・・
覚えられなかったら【ピコピコした名前】と、頭の片隅に入れてください。
ピコスルファートナトリウムは、大腸で細菌のはたらきを受けて、ビサコジルに変わる成分です。
つまり、【ピコピコ】のままでは、大腸刺激・下剤効果を発揮しないのです。
ピコスルファートナトリウムは、悪玉菌が多いほど、ビサコジルに変化する
と言われます。
必要な分だけビサコジルに変わることから、ビサコジルより穏やか(おだやか)
な効き目が得られるため、妊婦さんに投与されたりします。
例えば、医療用(お医者さんが処方してくれる薬)ですが、ラキソベロン液
(帝人ファーマ:ピコスルファートナトリウム)などがあります。
市販薬にもいくつか出ています。
この比較的穏やかな効き目のピコピコも、添付文書には、【妊婦への安全性は確立していない】と書いてあります。
このような妊婦への但し書きは、ほとんどの薬にみられますが、実際は、産婦人科や小児科でけっこう処方されています。
■ ピコスルファートナトリウムが、ビサコジルに変身!
ちょっと、専門家向けの話です。
ピコスルファートナトリウムは、小腸内で加水分解されず大腸に移行、大腸細菌叢(だいちょうさいきんそう)
由来の酵素アリルスルファターゼにより、ジフェノール体に加水分解。ジフェノール体の一部は吸収され、肝臓でグルクロン酸抱合を受けます。
この【ジフェノール体】こそ、ビサコジルと同じ刺激活性を持つのです。
● 便秘薬の注意事項 (便秘薬1にも書きましたが念のため)
・ビサコジル(刺激性下剤)配合便秘薬の多くは、胃で溶けず腸で溶ける腸溶錠(ちょうようじょ う)である為、牛乳で飲んではいけない(腸溶コートがはがれるから)
・器質的便秘(きしつてきべんぴ:腸管狭窄、腸管部分切除など、
病的・物理的原因の便ピ)の方は、まず医師に相談すべし
・妊婦さん:ビサコジルは胎盤へ移行しないが、腸のぜん動刺激が、
流早産を招く恐れがあるので、医師に相談なく下剤を飲んではいけない
・授乳婦さん:センノサイドは、乳汁に移行し、乳児に下痢を起こしたという報告あり。授乳婦さんは、センノサイドを避ける。
【授乳婦さんは避けてね!センノサイドの仲間】
センノシド、センノサイドカルシウム、
そして、生薬のセンナ、生薬のダイオウ、大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)に、センノサイド は含まれます。
【妊婦さんは、基本的に何でも医師に相談してね!】
けっこう自分の判断で、市販薬を飲んでしまう妊婦さん、多いです。
妊婦さんは、必要以上に神経質になったり、うっかり飲んだ薬のことで思い
悩む必要はありませんが、人生の一大事ですから、何でもお医者さんに相談
してくださいね。
■ 編集後記
私のメルマガは商品名を挙げていますが、【公正な】情報を心がけています。
実際、かぜ薬ひとつをとっても、優に200を越える商品がある中で、全部を取り上げることはできません。薬の市販本では、通常「公正を期するため」成分の解説のみとなっています。
それなのに、このメルマガは公正と言えるのでしょうか?
しかし、私は実際の商品を取り上げることで、理解が深まると思っています。
よーく読んで頂ければ、他の製品に出会っても、【自分で選べる】普遍的な情報が入っていることが、おわかりいただけると思います。
例えば、今回の場合。
産後のママが、(ひどい便秘だから、すぐ効くビサコジルがいいな。でも、これはセンナが入ってるから、おっぱいに移行しちゃうわね)と、センノサイドなしの便ピ薬を選んだり、
おだやかな便通をのぞむOLさんが、(お腹が痛くなる便秘薬はいやだな、ピコスルファートのにしよう)と思ったり、
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)を手にとって、(これも、センノサイドだからおっぱいに移行しちゃうわね)と考えたり、
今日は金曜の夜だし土曜は予定がないから、すぐ効くビサコジルを飲むわ〜!
・・・などなど、わかるようになってもらいたいのです。
もっとも今回のメルマガだけでは、他のもっとおだやかな便ピ薬や、
即効性の浣腸薬の情報を書いていませんから、また後日やりますね。
そういう私は、便ピ知らず。
強いて言えば、バナナを食べると良く出ます (⌒▽⌒)
(お食事中の方、ゴメンナサイ)
(2005年 1月)
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