資生堂 薬用アデノゲン
今回も、育毛剤がテーマです。アデノゲンについて考察します。
■ 資生堂 薬用アデノゲン新発売
2005年3月21日、育毛剤アデノゲンが、資生堂から新発売されます。
オフィシャルサイトは、3月18日から見る事ができます。
ヘアケア市場に殴り込みをかける、新製品。
資生堂、発毛因子の産生を高めて男性型脱毛を改善する新規育毛成分
「アデノシン」を開発。
商 品 名 薬用アデノゲン(医薬部外品)
内 容 量 150mL(朝晩使用で約1ヶ月)
希望小売価格 6500円(税抜き)
もう薬局さんでは、ビラ配り真っ最中です。私も配られました。
まずは、スナオな気持ちで、メーカーのアピールポイントを追ってみます。
[商品アピールポイント]
生体内薬用成分『アデノシン』配合の発毛促進・太毛成長剤
●生体内薬用成分『アデノシン』が早く確実に毛乳頭へ作用。
毛髪成長に不可欠な発毛因子「FGF−7」を産生し、発毛を促して髪を太く長く育てる
●和漢植物成分「ソフォラ※抽出エキス」が血行を促進し、毛幹を伸長する。
※ソフォラ − マメ科の和漢植物、血行促進作用があるといわれる
●無香料
・・・ところで、この主成分・アデノシンは効くのでしょうか?
■ 生体成分・アデノシンとは?
主成分アデノシンは、生体内に広く存在する成分です。エネルギー産生に
関わるATPの原料であり、自身も神経伝達物質としてはたらきます。
アデノシンは、分解しやすい性質を持ち、濃度が低い場合と、濃度が高い
場合で逆の効果を示します。
(参考;愛媛大医学部 整形外科ホームページ 専門家向け内容)
■ アデノシンの発毛促進効果を考える
以下、私見ですが。
【アデノシン(アデノゲン)は、毛髪促進作用が、少しはあるでしょう】
資生堂の実験結果によると、94.1%の改善効果があるそうです。
そこで敢えて、私は【効果が少しはあるでしょう】と書きました。
ナゼか?
いくつか理由があります。
ひとつ、毛髪が成長する為には、さまざまな成長因子が関わっています。アデノシンだけではありません。また、成長因子は「FGF−7」だけではありません。
例えば、リアップ(医薬品 大正製薬)の主成分・ミノキシジルは、いくつかの成長因子に影響を与え、結果、発毛します。
リアップは、日本では唯一の【発毛】剤です。
(他の育毛剤は【発毛促進】剤と表示することしかできません)
また、カロヤン(医薬品 第一製薬)の主成分・塩化カルプロニウムは、血行を促進することによって、頭皮に栄養を与えます。
※ 血行促進によって、組織にエネルギーや栄養成分をはこぶ
頭皮の血行促進という成分は、生薬を始め、他にもいろいろありますが、カロヤンの塩化カルプロニウムだけは、医療用(病院処方薬)での実績があります。
医療用の「塩化カルプロニウム」は、「フロジン液」という製品名です。
参考までに、「フロジン液」の臨床成績※を見てみましょう。
※ 臨床成績とは
発売前に、医師の管理のもとで、新薬使用の同意を得た患者に、実際に
使用テストした時の結果。通常、市販後と比べると少ない人数で行う。
臨床成績(有効率。臨床文献を元に集計):脱毛症(円形,悪性,び慢性,壮年性
等)55.9%(181/324),尋常性白斑54.3%(44/81),乾性脂漏75.9%(22/29)。
二重盲検比較試験※ で有用性が認められている
※ 二重盲検比較試験(ダブル ブラインド テスト)
二重盲検比較試験(ダブル ブラインド テスト)とは、薬効のある成分を入
れた薬と、成分を入れないダミーの薬を、投与する医師も、投与される患者
も、「どちらがホンモノの薬かわからない状態」で、効果判定を行うこと。
ナゼ、このような方法を取るかというと、ニンゲンは、「クスリですよ〜」と言って与えると、それがクスリでなくとも効くことがあります。
これを、プラセボ(偽薬)効果といいますが、そういう思い込み効果を排除することで、本当に効くのか、判定するのです。
このフロジン液(医療用塩化カルプロニウム:カロヤンの主成分)の改善率は50%台です。アデノゲン(医薬部外品)より効かないのでしょうか?
そうではありません。医薬品の方が、改善率(効果判定)のあらわし方が、厳しく定められているのです。
結論としては、アデノゲンは、発毛に対して、良い効果があるでしょう。
しかし、その効果は、他の育毛剤を比較して、大きく抜きん出るということはないと思われます。
また、医薬品ではなく、医薬部外品であるということから、医薬品以上の効果は期待できないでしょう。
(効果;医薬品 > 医薬部外品 > 化粧品)
おそらく、新発売時のブームが過ぎれば、他の育毛剤と横並びになると思われます。
テレビを見ていると、育毛剤やカツラメーカーのコマーシャルが、年々激しくなっていくような気がします。
あれだけ見ていると、【日本人一億、総フサフサ】になりそう。
でも、現実は違いますよね・・・(・ω・)
消費者としては、使ってみて、冷静にジャッジすべきです。
■ まとめ ■
・頭皮がカブレたりしなければ、使ってみて、判断しよう
(各育毛剤の主な副作用は、頭皮のカブレです)
・脂っこいものを食べない、バランスの良い食生活も心がけよう
・各育毛・初毛剤の比較をやってほしいところだが、
メーカーの立場ではできない、やったとしても公開できない
身近に、育毛剤フリークの方がいたら、そのヒトの体験談を聞くのが、イチバンだと思います。家族や親戚や友人。
そういう身近なヒトの忌憚の無い意見が、説得力があるでしょう。
■ 編集後記
実家の父が試した製品は、薬用不老林とリアップ。
結果は「変わってないなあ」でした。
父はサボリ魔なので、つけたりつけなかったりでしたから。
しかも、もともとそんなにウスくないし。あてになりません。
でも、抜け毛が減るっていうのも「改善効果」らしいですよ。
(2005年3月)
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