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総合感冒薬(2)



総合感冒薬(市販のカゼ薬)

今回は、パブロンシリーズのちがいを見てみましょう。

■ パブロンシリーズ(大正製薬)

パブロンシリーズは、細別(※1)やPB品(※2)を除けば9品あります。
その中で、比較的新しい製品としては、以下の3品があります。
・パブロンエース錠(イブプロフェン配合)
・パブロンSC錠 (アセトアミノフェン、ビタミンC配合)
・パブロンAG錠 (アセトアミノフェン、メキタジン配合)

<語句解説>
※1・細 別;数量の違い、剤形の違いのこと。同じ薬でも小さなパック、大きなパック、錠・カプセル・顆粒など色々あるのです。

※2・P B;プライベートブランド。例えば、西友やダイエー等のグループ名(ブランド)を冠したオリジナル商品。大手の薬局や、薬の商工会等もプライベートブランドを持っています。PBの反対語はN B;ナショナルブランド。全国どこでも同じように売っている商品です。

パブロンシリーズには、去痰薬として「塩酸ブロムヘキシン」が入っているものが多いです。

■ パブロンシリーズの主要成分・塩酸ブロムヘキシンとは?

ひと事で言えば、スイッチOTC(※3)成分の去痰薬です。

塩酸ブロムヘキシンは、気道液の分泌を高め、糖タンパクを溶かし、低分子化(細かくする事)で、痰を排出しやすくします。また、肺サーファクタント(肺の潤滑剤)を分泌し、痰の排出を助けます。要は、痰を薄めてスムーズに出し、気道をうるおすわけです。

このサーファクタントですが、呼吸する上でなくてはならないものです。生まれたばかりの赤ちゃんの中に、呼吸器が未熟でサーファクタントが不足している事があります。その場合は、人工的に補う必要があります。

肺胞を小さな風船の集まりと考えると、肺胞は呼吸の度に膨らんだり縮んだりしています。この時、サーファクタントがないと、膨らんだ風船がしぼんだとき、しぼんでくっついたままになってしまうのです。

<2007年10月追記>塩酸アンブロキソールが、スイッチOTC化
塩酸ブロムヘキシンは、医療用では、去痰薬に分類され、おもな作用は糖タンパクを溶かすことで、肺サーファクタントの分泌作用はほんのわずかです。塩酸ブロムヘキシンは、代謝を受けるとその2.5%が、アンブロキソールになります。この類似の構造を持つ塩酸アンブロキソールは、おもに肺サーファクタントの分泌作用を持っているので、治療薬マニュアル(医学書院)では、粘膜潤滑薬(肺サーファクタント産生促進薬)に分類されています。2007年9月5日、厚労省の薬事・食品衛生審議会は、塩酸アンブロキソールを配合したかぜ薬を承認しました。塩酸アンブロキソールを配合したOTC薬のかぜ薬は、「エスタックイブファイン」(エスエス製薬)、「新パブロンSC錠」「新パブロンエース錠」(大正製薬)の3製品です。


<語句解説>
※3・スイッチOTCとは?
もともと医療用(病院専用)で使われていた成分が、使用経験を積み、安全性(適正使用量・用法等)が確立され、市販の薬に配合許可されたもの

■ さて、そもそも総合感冒薬とは?

まず、カゼ薬(総合感冒薬)は、どのメーカーのものも以下のような成分の組み合わせになります。また、咳止め成分としては、どのメーカーのものもリン酸ジヒドロコデイン(通称リンコデ)が入っています。

<市販の総合感冒薬の成分>
・解熱鎮痛薬   ;アセトアミノフェン、イブプロフェン等
・鎮咳薬      ;リン酸ジヒドロコデイン、ノスカピン等
・去痰薬      ;塩酸ブロムヘキシン、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム等
・酵素剤      ;塩化リゾチーム(腫れを鎮め、痰を出しやすくする)
・気管支拡張薬 ;dl-塩酸メチルエフェドリン等
・抗ヒスタミン薬  ;マレイン酸カルビノキサミン、メキタジン等
・ビタミン類    ;ビタミンB1、B2、C等
・その他      ;生薬、カフェイン等

■ ここで、総合感冒薬の選び方です

・熱が高い、のどの痛みが気になる場合は、解熱成分・イブプロフェン入りのものを選ぶべし
・たいして熱がない場合は、アセトアミノフェン配合のものを選ぶべし
・卵アレルギーの人は、塩化リゾチームの入っていないものを選ぶべし

・・・あとは適当に、ビタミンC入りがいいなあとか、生薬入りがいいなあとか、昔から飲みなれてるからなあ、という理由でテキトーに選ぶべし
(他に、解熱鎮痛薬、鎮咳薬・リンコデ等過去に過敏症の経験がある方は、医師・薬剤師にご相談ください)

以下、パブロン篇です!

■ パブロンの中で、解熱成分が「アセトアミノフェン」のもの

・パブロンS;医療用の塩酸ブロムヘキシンを初めてスイッチOTCとして配合した製品

・パブロンゴールドA微粒(かつてのパブロンゴールドのノスカピンなし)去痰薬としてグアイフェネシン配合。昔からの愛用者がいる製品

・パブロンAG;2004年に出たばかりの製品。塩酸ブロムヘキシン配合。パブロンシリーズの
 抗ヒスタミン薬は、みんな「マレイン酸カルビノキサミン」だが、これだけは「メキタジン」配合。
 メキタジンは抗アレルギー作用(※4)もあわせ持つ第2世代抗ヒスタミン薬。比較的眠くなりに
 くいらしい。でも抗ヒスタミン薬ですから、多少は眠くなるでしょう。

・パブロンSC;これも比較的新しい製品。塩酸ブロムヘキシン配合。
 パブロンの中で唯一、ビタミンCを配合した製品。

・パブロンSゴールド;塩酸ブロムヘキシン配合。パブロンSに、鎮咳薬としてリン酸ジヒドロコデインだけでなく、ノスカピンをプラスし、鎮咳力を高めた製品

<語句解説>
※4・抗ヒスタミン作用と抗アレルギー作用
風邪をひいたり、花粉に刺激されたりすると、体内にヒスタミン等の刺激物質が出てきて、目がカユクなったり、鼻が出たり、時にはお肌もカユクなったりする。簡単に言えば、体内で出てしまったアレルギー物質(ヒスタミン等)の作用を抑えるのが「抗ヒスタミン作用」、体内に出てこないように抑えるのが「抗アレルギー作用」

OTC薬にも、抗アレルギー薬に分類される成分があります。それは、スイッチOTC成分・クロモグリク酸ナトリウム。抗アレルギー作用を期待するなら、この成分です。花粉症関連製品として、鼻に噴霧する「AGノーズ」、目薬の「AGアイズ」(旧藤沢薬品工業、2004年現在、山之内製薬と合併したゼファーマの製品→2007年現在、第一三共ヘルスケアの製品)に配合されています。他に、佐藤製薬、ロート製薬も同様の製品があります。

■ パブロンの中で、解熱成分が「イブプロフェン」のもの

『熱でボーっとするとき、鼻の奥やノドが焼けるように痛い時に』はイブプロフェンです。

・パブロンエース;パブロンSゴールドの解熱成分だけ違う処方。塩酸ブロムヘキシン配合

・パブロンN  ;(塩酸ブロムヘキシンの配合ナシ)
           去痰薬として、グアヤコールスルホン酸カリウム配合

ちなみに、パブロンシリーズで、去痰薬・塩酸ブロムヘキシンの配合がないのは、「パブロンゴールドA微粒」と「パブロンN」のみ。

■ リンコデを飲まない方が良い人がいる?

リン酸ジヒドロコデイン(以下リンコデ)は、ぜん息気味の人、カゼをきっかけにぜん息っぽくなる人は、リンコデがぜん息を惹起(じゃっき)する可能性があるので飲まない方がいいことがあります。(ちなみに過去に小児喘息で、今は何ともない大人の方は、たぶん、ダイジョウブ。それは私です)

でも、総合感冒薬で、咳止め成分にリンコデを入れてないものなんて、ほとんどゼロに近いのです。飲んでなんともなければ大丈夫です。ご不安な方には、解熱成分は入ってませんが、ぜんそく・咳の「アスクロン」がおすすめです。リンコデ以外のセキ止め成分が入っています。

(なお、成人してからも、重いぜん息発作に苦しんでいるような方は、解熱薬でぜんそくを起こす場合もあるので、カゼの時もかかりつけ医師に薬を処方してもらってくださいね!)
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<裏追伸>
カゼ薬の話じゃないですが、キレートレモン(POKKA;清涼飲料水)に関連して。
さっぱりしたスッパサがかなり気に入っています。

私は酸っぱいものが好きなので、ビタミンCのチュアブル等を常備しています。以前は、ビタミンCっていうのは、水溶性だから、いくら摂っても全部尿から出ちゃうんでしょー、害はないんでしょーと、毎日ボリボリ食べていました。しかし、腎臓の弱い方や、毎日少しでも取りつづけた方の中には、尿中のシュウ酸が増え、カルシウムと結合して、腎結石や尿路結石が起きる場合があるそうです。

ビタミンCでも、毎日摂りすぎはいけないんか、石ができるんか〜と、驚きました。
(ビタミンCが代謝されると尿中に50%シュウ酸で存在するため)

でも、ビタミンCとクエン酸を一緒に摂ると石ができにくくなり、そのリスクを回避できるのです。「キレートレモン」は、天然クエン酸1350mg配合されており、その点もクリアしています。念のため、私はポッカの回し者ではありません。本気で気に入っているだけです。


 おもいっきり具体的!薬局の薬(OTC薬)の豆知識


     (2004年11月)→2007年10月更改(青字)




 

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  人によっては重大な副作用が起こることもあります。
  ご不明点は医師または薬剤師、各メーカー等へお問い合わせ下さい。
  (個別の健康相談には応じておりません)
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