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・・・とこんな感じです。成分がかなりダブっているのがおわかりいただけたと思います。 例えば、咳止め薬のブロン液シリーズ(エスエス製薬)の添付文書に、こんな注意事項があります。 『本剤を服用している間は、次のいずれの医薬品も服用しないで下さい。 他の鎮咳去痰薬、かぜ薬、抗ヒスタミン剤を含有する内服薬(鼻炎用内服薬、乗物酔い薬、アレルギー用薬)、鎮静薬』 当然です!成分がダブりまくってしまうからです。 市販薬の名前だけ見て、「鼻と、咳が出るから」と『鼻炎薬』と『咳止め』を買って飲んだりしたらいけないのです。副作用が起きやすくなります。 ところで、OTCは全部が全部、イロイロな成分が入っている訳ではありません。中には、シンプルなものもいっぱいあります。 例えば、「浅田飴」。 あれはお菓子っぽいですが、鎮咳去痰薬に分類される立派な医薬品です。 ■ 浅田飴・浅田飴(株式会社浅田飴) “シュガーレス”になったそうです。知らんかった。成分・分量(9錠中) キキョウ根エキス 94.5mg トコンエキス 40.5mg マオウエキス 40.5mg ニンジンエキス 67.5mg 用法・用量;成人1回2〜3錠、8〜14才1回2錠、5〜8才1回1錠 1日3回 麻黄(マオウ)は、交感神経を興奮させ、気管支を拡張する鎮咳成分・エフェドリンを含む生薬です。心拍を亢進し、血圧を上げる働きもありますので、特にお子様にはアメだと思ってたくさんあげたりしないよう、上記の用量を守って下さいね。 あくまでも医薬品です、アメじゃないです。 (でも、小学校の時に友達にもらって良く舐めてましたが) ところで、時々「生薬」と「漢方薬」の違いがわからない方がいます。 「生薬」は、植物、動物、鉱物の一部で、何らかの効き目があるもので、通常ひとつのものを指します。例えば、キキョウ、マオウ、トコン、ニンジンは、全部生薬です。 一方「漢方」は中医学(中国の伝承医学)に基づいて、いくつかの生薬を組み合わせた処方です。日本では厚生労働省が210処方を承認し、保険が適用されています。薬局で買っても、病院でもらっても、同じ名前・内容の漢方ですが、病院でもらう方が保険が利くので安いです。 (薬局で買う漢方薬は効かないんでしょ、と言われた事がありますので。漢方の場合、病院のも薬局のも、同等です。) では、浅田飴は、生薬がいくつか入っているから漢方か?というとそうではありません。漢方は、例えば葛根湯(かっこんとう)にはこの成分、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)にはこの成分、とレシピが決まっています。その処方から外れるものは全部漢方ではありません。 例えば、葛根湯にビタミンB群をプラスしただけで、漢方を名乗ることはできなくなるのです。(配合成分には書けますが) ■ 市販のカゼ薬を買わない方が良い人とは?以下に当てはまる方は、市販のカゼ薬を買わない方がいいでしょう・アスピリン喘息(解熱鎮痛剤に対するアレルギーで起こる喘息)経験者 ・リン酸ジヒドロコデイン(リンコデ)に対して過敏症のある方 ・大人になってからも喘息気味の方、風邪を引くと喘息っぽくなる方 そういう方は、どうすれば良いかというと、咳止めを買えば良いのです。まず、市販の咳止めには解熱成分の配合はありません。また、咳止めには、リンコデの入っていないものも探せばあります。(探せば、というのがミソです。リンコデが入っているものが多いんです) ■ リン酸ジヒドロコデイン(リンコデ)の入っていない市販のセキ止め・アスクロン(大正)・ベンザエース咳止めゼリー(タケダ) 同名で、錠剤にはリンコデ入っています。 ・エスエスブロン液L(エスエス) 同名で、錠剤にはリンコデ入っています。 ・パイロン咳止め錠(塩野義) etc. 喘息をお持ちのお子様については、子供用の咳止めシロップには、ほとんどリンコデの配合がありますのでご注意下さい。何を選べば良いか?もちろん、お医者さんに行くのが良いのですが、選ぶとしたらコレ! (裏追伸へGO!!) なお、大人でも子供でも重症の喘息をお持ちの方は、カゼ気味程度であっても市販の薬に頼らず、かかりつけのお医者さんに処方してもらった方が無難です。くれぐれもお気を付け下さい。 ■ 高熱を出した子供の解熱は、お医者さんへ!それから、最近ではだいぶ広まって来ましたが、高熱を出した子供(14才以下とします)に対し、自己判断で強い解熱成分を使うと、インフルエンザ脳症を起こす事があります。発症すると予後は悪く、問題なく治癒する率は6割程度と言われています。自宅にあった坐剤を「とりあえず」と使用し、死亡に至った例もあります。 ・ジクロフェナクナトリウム(病院の薬・禁忌) ・メフェナム酸 (病院の薬・禁忌) このような強い解熱成分では、子供の身体に負担をかけ過ぎてしまうのです。これ以外の、アスピリン、イブプロフェン、ピリン系等も避けた方が無難です。高熱を出した子供の解熱は、アセトアミノフェンが一般的です。高熱を出した子供の解熱は、アセトアミノフェンで、40度が38度くらいになったら良しとすべきです。下げすぎも体力を消耗します。 --------------------------------------------------------------------- <裏追伸> 子供にはあまり色々飲ませたくない、っていう方も多いと思います。 そういう方にはコレ! ■子供が飲める単純処方・塩酸ブロムヘキシン(スイッチOTC)「ストナ去たんカプセル」(佐藤製薬)「クールワン去たんソフトカプセル」(杏林製薬) これは、去痰成分・カルボシステイン(1日量750mg)と塩酸ブロムヘキシン(1日量12mg)を配合しており、8才のこどもから服用できます。この2つの去痰成分のみから成ると言う点で、初めてのOTCです。「気道の分泌を抑えるコデインを含まず、8才の子供から服用できる」としています。 単純な処方ですから、2才から飲める漢方薬「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」とプラスしても良さそうです。麦門冬湯は、のどを潤す咳止め漢方です。子供からお年寄りまで長引く「から咳」「たん」等に幅広く飲めます。 ※注意※ 麦門冬湯は、年齢ごとに飲む量が決まっているのでご確認下さい。 ※漢方※ 漢方にも副作用はあります。多くは、食物アレルギーのように、生薬に対するアレル ギーに起因するものです。湿疹が出たりしたら医師・薬剤師にご相談ください。 (2004年12月) |
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