※メルマガバックナンバーより一部改変

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しつこい咳に(アネトンセキ止めZ液 ほか)

薬局の薬の豆知識(まぐまぐ大賞2006教育研究部門第2位)


しつこい咳に(アネトンセキ止めZ液 ほか)

「クスリが効かないので、2倍のんだ」「3倍のんだ」
「1日3回のところ、6回飲んだ」
というオソロシイメールを、たまに読者さんからいただきます。

メールを読んで、「ヤ、ヤメテくれ〜!」と震えてしまいます。 そんな中、近ごろ数通、「クスリをいっぱいのんじゃった」メールが続きましたので、 ぜひとも、やめていただきたいと思い、ひとつ取り上げます。

■ はじめに‐「薬局の薬の豆知識」からのお願い

まずはじめに、メールでは「この症状はなんだと思うか?」 「どんなクスリが良いと思うか?」というご質問にはお答えできません。 

メールの大半は、性別も年齢も、体質も、病歴も書いてないものですし、 対面せずに、医師でもない私がアドバイスをするのは、ヒジョーに危険。 みなさんが思っていらっしゃる以上に、キケンです。

それでも、「なんらかのアドバイスがほしくて」メールをくださったのですから、私なりの考えを書かせていただいております。 私のメールは、知人のアドバイス程度に、軽く読み流してください

とくに「この症状はなんだと思うか?」という方は、かならず、【お近くの対面できる 医師または薬剤師にご相談ください】
なにとぞ、よろしくお願いいたします。m(_ _)m

・・・では、さっそく!

■ 咳が止まらない ‐ 読者のヒロさん(仮名)のメールより

ヒロさんのメールを、長いので3つにわけて、ご説明します。
▼(さんかく)のしるしは、私のコメントです。

こんにちは、毎回あなたのメルマガを楽しく拝見させていただいています。
 ところで近年、年のせいか風邪を引くと咳が止まらなくなると言う症状が出るようになってしまいました。昔はこのようなことはなかったのですが、実際に経験してみてさまざまな風邪の症状の中で、咳ほど始末の悪いものはないと言うことを思い知りました。

とにかく、日中はさほどのことがないのに、布団の中で体が温まってくると咳がひっきりなしに出続け止まらなくなってしまい、寝るに寝られないと言うことになるからです。 

▼ 夜に、ふとんに入り、体が温まると咳が出るという人がいます。
夜は、気道液 の分泌が少なくなるので、咳が出やすくなります。

※ 気道液(きどうえき):気管内の空気を湿らせ、気管に侵入した異物を除去し、
免疫反応を維持するはたらきをしています。 気道液は、アレルギー反応が起こると、過剰に分泌されて、透明なねばっこいタンになります。さらに「細菌感染」が加わると、黄〜ミドリ色のタンになったりします。


そこで薬なのですが、これが他の風邪の症状であれば、だいたい箱に書かれている量を飲めば効いてくるのに、咳に関しては書いてある量では全く効かないと言うことがあります。

昨年の今頃に風邪を引いたときには「ルル」を買ってきて飲んだのですが、コマーシャルでも昔からルル3錠と言っているけれど、3錠では何の効果もなく6錠飲んでも10錠飲んでもだめで、最終的には20錠前後も飲んでようやく効いたと言うことがありました。


▼ ルルを20錠・・・ガクガク・・・震えてしまいます。 クスリが効かないからといって、決められた量よりも多く飲むのは、副作用が起こる確率があがりますので、ゼッタイにやめてください。

▼ カゼをひいている時点で、体は弱っていますので、 そこに用量の何倍ものクスリを飲んだら、肝臓が悲鳴を上げます。 市販薬も、おもにアレルギー性の副作用が、重篤なものから、軽度なものまでいろいろと報告されています。
自分だけはダイジョウブ!と思わないようにしましょう。
今回も昨年と同様に咳に悩まされ、今回は咳止めに特化をしたものと言うことでファイザー製薬の「アネトン」というのを買ってきました。

これならば箱に書いてある量で十分効いてくれるであろうという期待を込めて飲んだのですが、1回10mlという量を同梱されている小さな目盛り付きの器に入れて飲んだのですが何の効果もありません。

つづけて同量を1ぱい飲みましたが全然だめ。ひっきりなしに出続ける咳にガマンしきれなくなってもう1ぱい飲むとようやく効いてくれました。しかし、瓶の容量は100mlしかないのに、咳がひどくなる度に飲んでいたらあっという間になくなってしまう、と思っていたら、
2日目の夜にはもう無くなってしまいました

まったく持って、こんな効率の悪い薬はないわけで、これならルルの方がよっぽどましだという気分になっています。ちなみに私は基本的には薬というのは飲まない主義で、よっぽど必要性を強く感じない限り飲まないことから、1年前に風邪を引いたとき以来、薬と名の付くものは全く飲んでいません。

薬をひんぱんに飲んでいて、薬に対して体の反応が鈍くなっていると言うことはないはずなので、普通に飲んできちんと効いてくれる薬というものをご存じでしたら教えてもらいたいのですが。

▼ まず、市販の総合感冒薬やセキ止めは、メーカーによって効果の差はあまりないので、「ルル」や「アネトン」が、弱いダメグスリというわけではありません。他のメーカーのセキ止めを選んでも、効きめは同様です。

「ルル」という名称だけでは、商品の特定ができないのですが、「アネトン」の方は、大人用の【液体セキ止め】であることから、「アネトンせき止めZ液」と特定できます。「アネトンせき止めZ液」の飲み方については、後述します。

この方の咳は、もしかしたら、ぜんそく性の咳なのかもしれません。咳が出るタイプのぜんそくは、寝るときに起こりやすいからです。やはり、呼吸器の専門医を受診して、「眠れないほど咳がヒドイ」ということを強調されると良いでしょう。

さて、体が温まると咳が出る人は、お風呂でも咳が止まらないでしょうか?たいていの方は、湿り気があれば、咳は出ても長くは続かないはずです。

ですから、加湿器をつけて寝る、または、清潔なタオルをぬらし、ハンガーで寝室にかけるなどすると、のどがラクです。(加湿器はカビが生えやすいので、こまめにそうじしましょう)

■ 咳がつづく方に、使われるその他の市販薬

● 麦門冬湯(ばくもんどうとう:漢方薬 メーカーはいろいろ)
成分:漢方薬・麦門冬湯(バクモンドウ、ハンゲ、タイソウ、カンゾウ、ニンジン、コウベイ) 
かぜをこじらせたあとに、乾いた咳が続いて、咳き込みが苦しい方に、 気道液の分泌を促して、のどをうるおします。
※ 2才以上から飲めます。(量は、添付文書をごらんください) 

● ぜんそくの咳に アスクロン(大正製薬)
成分:塩酸メトキシフェナミン(気管支拡張薬)、ノスカピン(非麻薬性中枢性鎮咳薬)、カンゾウ粗エキス、グアヤコールスルホン酸カリウム(去痰薬)、無水カフェイン、マレイン酸カルビノキサミン(抗ヒスタミン薬:鼻水、かゆみなど。眠気を生じる) 
その他のセキ止めがいまいち効かない方は、いちどお試しください。 アスクロンの方が合う!という場合があります。
※ アスクロンは、15歳以上の成人のみです。

▼ 麦門冬湯(バクモンドウトウ)とアスクロンは、甘草(カンゾウ)由来の成分が重複します。
高血圧、むくみ、肝臓や腎臓などそのほかに持病のない方で、医師の治療中でない、ふだんは健康な方が、短期間に飲む分には、 一緒にお飲みいただいても構いません。治療中、または、ふだんから服用中の薬(漢方薬も含む)がある方は、担当医にご相談ください。 自己判断で市販薬を飲むことのないようにしてくださいね。

■ 「アネトンせき止めZ液」の成分を、医療用医薬品と比較する!

市販薬は、病院でもらうクスリよりも、成分を少なめに配合しているものが多いです。 しかし、【病院でもらうクスリと同じ量を 配合!!】というのが「アピールポイント」である市販薬も少なくありません。

市販薬は弱いから、2倍飲んでもダイジョウブ!というのは、ものによっては、大変おそろしいことです。 

▼ しかし「アネトンせき止めZ液」については、添付文書によると、成人は1回10mLを【症状により約4時間の間隔をおいて1日6回まで服用することができる】とあります。 つまり、オトナなら、1日最大では、60mL 飲めます。 ですから、1杯(10mL)じゃ効かないから、2ハイ、3バイ一度に飲むのは良くないのですが、4時間あければ、1日6回までオッケーなのです。 

以下、「アネトンせき止めZ液(ファイザー)」の主成分を、病院のクスリ(医療用医薬品)の用量と比べてみましょう。 1日6回飲むと、ほぼ、病院のクスリと匹敵するのがわかります。
● アネトンせき止めZ液の成分配合量、医療用医薬品との比較

の成分

アネトンセキ止めZ液 60mL ※
※ 成人4時間ごとに、6回分(1日最大量)
医療用医薬品の用量
リン酸コデイン  1日 50mg  1日 60mg
dl−塩酸メチルエフェドリン  1日 75mg  1日 75〜150mg
(通常成人1回 25〜50mgを
 1日3回)
塩化リゾチーム  1日 60mg(力価)  1日 60〜270mg(力価)
マレイン酸クロルフェニラミン  1日 12mg  1日 4〜24mg
(通常成人1回 2〜6mgを
 1日2〜4回)
無水カフェイン  60mg
セネガ流エキス  1500mg

▼ アネトンせき止めZ液は、1本100mL、¥1470(税込み)ですから、4時間ごとに10mL飲めば、40時間でなくなる計算になります。 2日めに、なくなるわけですね。

▼ 市販薬を「添付文書で決められた用量」飲んでも効かない場合は、医師に処方してもらう方が、診断もついて安全であり、 2日にいっぺん市販薬を買いに走るより、ふところも痛みません。お医者さんに「咳が出て眠れない」ということを数回強調して、セキ止めを処方してもらうと良いでしょう。 「咳が出て・・・」とサラッというと、「咳がひどい」ということがお医者さんに伝わらないことがあります。

■ アネトンせき止めZ液のテレビコマーシャル

常盤 貴子(ときわたかこ)似の顔立ちの女優・前田 ゆかさんが、
シルクっぽい丈の短い半下着姿で、ソファで咳き込みます。
コン、コン・・・。

なぜ下着なのか?なぜにセクシー路線?というギモンがうずまく中、
● アネトンせき止めZ液のテレビコマーシャル
ソファに倒れかかる女性「咳を止めたいだけなのに・・・」
コン、コン。
字幕【せきには、咳止め薬を・・・】
セクシーな男性の声「それ、本当に咳のクスリ?」
女性「エッ?」
セクシーな男性の声「咳には、赤いパッケージのアネトンZ。咳中枢に しっかりはたらく」
女性 明るい顔で「効いた〜!」
アネトンZ、アネトンZだね。

※ 出演:前田 ゆか 出身地:熊本県 H:172 B:80 W:60 H:87
 →なぜスリーサイズを明記?
● CMコンセプト:ファイザーのホームページより
「せきがでて困っている時、総合感冒薬を服用することがありますが、症状がせきだけの場合には、せき専門に開発されたせき止め薬が適していることをわかりやすく伝えています。」

▼ 私のホームページにも書いてありますが、
セキ止め(鎮咳去痰薬:ちんがいきょたんやく)には、
・熱さまし(解熱鎮痛薬)が入っていない
・セキ止め成分を、多めに入れられる

・・・これが、カゼグスリ(総合感冒薬)との主なちがいです。(2007年3月)

 
[追記] アネトンは、2007年8月1日より、ジョンソン・エンド・ジョンソンの製品です。ファイザーの市販薬部門は、2007年8月1日より、ジョンソン・エンド・ジョンソンに事業譲渡されました。
 2006年6月26日(ニューヨーク)ファイザー社、コンシューマー・ヘルスケア事業をジョンソン・エンド・ジョンソンに166億ドルで売却することに合意。2006年12月20日(NY時間)付でジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社に譲渡されました。 事業譲渡後、製品の承認承継(一般用医薬品は2007年8月1日、医薬部外品は2007年9月1日に承認承継)等の事業移行期間を経て、 コンシューマー・ヘルスケア事業部門に関する事業は2007年11月30日をもってすべてジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社へ移管されました。


 おもいっきり具体的!薬局の薬(OTC薬)の豆知識

 





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